青空文庫では、いろいろな人が書き表したさまざまな作品を、コンピューターで扱えるファイルの形に整え、インターネットを通して読めるようにしようと考えています。
それぞれの作品には、書いた人の考えや思いが込められているはずです。作者にとって、表現は自らの分身でしょう。
そんな作品の一つ一つを、私たちは大切に扱っていきたいと思います。
資料としての価値や証言としての意味など、作品を収録する意欲を育てるいくつかの動機の中でももっとも大きなものは、内容への共感と作者への尊敬でしょう。加えて私たちには、自分自身を大切に扱ってもらいたいという願いがあります。その思いはひるがえって、人にもていねいに向き合おうとする姿勢を、手繰り寄せるでしょう。
青空文庫にかかわろうとする人は誰も、「大切に」と思う気持ちを共有できるはずです。
では、具体的にどのような点に注意し、どのように振る舞えば、作品を大切に扱うことができるのでしょう。
こう考えを進めていくとき、私たちは著作権という存在に向き合います。
著作権とは、作品を生みだした人に認められている特別の権利です。その内容を理解し、作者の権利を侵さないよう努めることこそ、「作品を大切に扱う」ということの具体的な中味です。
法律用語で規定されたなじみのない概念に踏み込むことには、ためらいが生じるかも知れません。けれど、作品の電子化と公開にかかわろうとするのなら、较低限の知識を身につけておくことはやはり必要です。
正確に分かりやすく書くことを、心がけたいと思います。
皆さんもどうぞ、ゆっくり内容を確認しながら読み進んで下さい。